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TEST DRIVE 試乗オヤジのたわごと (クルマ大好き試乗オヤジの言いたい放題)

元・自動車評論家によるディーラーの試乗記。 いいクルマは動き出しの5m、交差点一つ曲がっただけで分かるもの。 これまでに乗ったクルマは1000台近くになるのではないでしょうか?自分で買ったクルマも30台以上になります。ブログだから書ける本音のインプレ。

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BMW M6グランクーペ 試乗 “汝は万能の神か!”

「BMW M6グランクーペ」
“汝は万能の神か!”


mbm6132.jpg
CLSやA7といったライバルに遅ればせながらしかし満を持して登場したBMW
のフルサイズ4ドア4シータークーペ(グランクーペは定員5名)です。

この贅沢で且つ万能の実用性をも併せ持つ瀟洒なクーペに最強のMの心臓を
得て何を得、何を失ったのか?台風の最中、雨の高速という悪コンディショ
ンの中でじっくりと試してみました。


スタイル★★★★☆

幾分線の細い(その分クーペらしく繊細な)感のあるCLSやA7に比べ細部の
処理もありますが、このグランクーペはぐっと力強く悪く言えば握りつぶし
た団子か饅頭のような凝縮感があります。

しかし、もしや端正なクーペよりもフォルムとしてはまとまっているので
は? と感じさせます。それはグリルの丸い形状や締まったリアのデザイ
ンの整合性などに現われます。リアドアの窓の縁に備わる「Gran Coupe」
のロゴ(ちょっとグランツーリスモみたいですが)も洒落ています。

また軽量化に力を注いでいるのもいいですね。例えば、カーボンファイバー
強化プラスチック(CFRP)製のルーフをはじめ、ウィンドウフレームレスの
ドアやエンジンフードはアルミニウム製、サスもアルミニウムを多用し、サ
ーモプラスチック製フロントサイドパネル、グラスファイバー複合材料を採
用したトランクリッドなどなど、こうした努力によって車重はM5の+5kgに収
まっています。


内装★★★★

いいのは運転席に座った時の余裕たっぷりの頭上空間です。これは広く感じ
ます。先代のCLSがほとんどヘッドクリアランスが無かった事を思うと上手く
デザインされていると思います。

またリアシートも十分ですね。まあホイールベースが3mもあるのだから当た
り前と言えば当たり前なのですが。ちなみに中央のシートの前にはセンター
コンソールが張り出しているので真ん中の人は股を開いて座らなければなり
ませんが。

また110万ほどのオプションであるセミオーダーメイドプログラム「Individual」
を選べばツートンなどほぼフルオーダーでカラーが選べます。まあこの種の
オプションはこの
価格帯のパーソナルカーとして必須ですが、そのカラーのセンスの良さは流
石にバイエルンの誇りと言えるでしょう。

mbm6113.jpg

エンジン・ミッション★★★★★

新しいMの心臓は4.4リッターV8ツインターボ。560psの最高出力と、69.3kgm
の最大トルクです。トランスミッションはデュアルクラッチ式ATの「M DCTド
ライブロジック。

「ドライビング・パフォーマンス・コントロール」を装着し、8段ATのシフト
タイミングやパワステのアシスト量、エンジンのレスポンスやDSCの設定を変
えられます。また「ダイナミック・ダンピング・コントロール」に連動して、
足まわりのセッティングも可変となります。

試乗当日は台風が接近しており、かなり雨が降っていた事もあってまずは「コ
ンフォートモード」でスタートしました。なんといってもこのパワーのFRです
から少しでもラフにアクセルを開くとホイールスピンは必須です。DSCがすぐ
に制御してくれますが、高速のコーナリング中のリアのブレークはアングルの
大小に関わらず気持ちのいいものではありません。

エンジンサウンドはAMGほど低くはありませんが、やはり低音で迫力のあるもの
です。コンフォートでは変速スピード(変速回転の高低ではなく、変速そのもの
の速さ)やパワステ操舵力、サスペンションなどがマイルドな為、非常に乗りや
すいです。アクセルワークに多少気をつけさえすれば誰にでも乗れます。これは
新型のターボユニットが先代までのM5のNAのV10エンジンのように鬼のようなレ
スポンスを持たないことにもよります。V10は回転の上がりも下がりも速く不用
意にアクセルを戻すとかなりギクシャクしたものです。

いよいよ少し慣れたところで「スポーツモード」に切り替えると確かにパワー
が炸裂します。トルク感がグッと増し少しアクセルに力を込めると直線でも路
面の継ぎ目をきっかけにホイールスピンを誘発します。なのでDSCに頼るまでも
なくアクセルから力を抜く事になります。この日のコンディションではFRとし
てはこれが限界です。

だからといってクアトロや4MATICに比べこのクルマが劣っているかといえばそ
うばかりとも言えません後述する電動とは思えないステアフィールの繊細さや
アクセルワークでリアのスリップアングルをコントロールする楽しみはスポー
ツクーペとしての大事な部分でしょう。そしてこの最新のグランクーペはこう
した悪条件でも十分にコントロール下に置く事が出来るほどのシャーシポテン
シャルを備えている事も確認できました。


足回り★★★★☆

サイズはM5と比べると、全長は95mm長く、全幅は10mm幅広く、全高は75mm低い
です。さらにカーボンルーフで重心も有利です。このデメンションが何を意味
するか?ハンドリングの良さです。鼻先が軽くステアリングを切るのが楽しい
です。この悪条件で楽しいという事はドライならもしや自由自在になる感覚す
らありえます。

とにかくステアフィールがいいです。路面からの確かな手ざわりがあります。
路面の凸凹を消し去るのではなく、不快ではない範囲でドライバーに伝えます。
ドライバーが安心できる信頼感とダイレクト感、さらに高級車のみが持つしっ
とり感も併せ持っています。

乗り心地も決して悪くありません。タイヤは20インチで扁平率もF:35、R:30
というほとんど絶望的なスペックですが(ただし非ランフラット)角はしっか
りと丸めてあります。それよりもフラット感が高く、並みのBMWよりも快適なほ
どです。特に高速では5や7シリーズの多少ピッチングの多い乗り心地よりもは
っきりと快適と感じました。

また乗ってみて驚いたのは、その“サイズの感じなさ”です。内装とシュアな
ハンドリングのお陰で7と比べ一周りほど小さく感じます。

具体的には水平基調の切り立ったダッシュを持つ7に比べ6のそれはかなりラウ
ンドしている事、そして街中でもステアリングを少し切ればグッとノーズが内
を向く最新アクティブステアリングも効いています。また飛ばせばBMWお得意の
前後の完璧な重量バランスもあってとにかく5mのボディとは思えないくらいヒラ
ヒラと曲がります。

特に「スポーツモード」に切り替えると足回りが締まりステアリングの手応えも
増す事によりクルマがさらに一回り小さく感じられます。

当日は雨のため試しませんでしたが、ある資料によると「ワインディングではリ
アデフに左右後輪間のロッキングファクターを0~100%まで電子制御で調整でき
る「アクティブMディファレンシャル」を標準装備していることもあってFRドラ
イビングの醍醐味を味わえる・・」そうです。このステアリングとシャーシを見
る限り本当だと思いま
す。


総評★★★★☆

「メルセデス・ベンツCLSクラス」や「アウディA7スポーツバック」などが直接の
ライバルですが4ドア4シーターの大型高級車という括りではパナメーラやバン
キッシュあたりもライバルになるかもしれません。

古くはトヨタ・カリーナEDやマツダ・ペルソナ、アストンマーチン・ラゴンダなど
に起源を発するこの4ドアクーペというジャンルですが、最近にわかに活況を呈し
ています。

このグランクーペは本格2ドアグランツーリスモである本物のクーペの6がベースと
あってスペシャルティー度では負けていませんね。高級感ではバンキッシュに敵い
ませんがCLSやA7には勝っていると思います。パフォーマンスもCLS63AMGやRS7と同
等。640や650のグランクーペに対してMで失ったものはとっつきやすさというか普
段使いの気楽さぐらいでしょうか。かなり気に入ってしまいました!


【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5015×1900×1395mm/ホイール
ベース:2965mm/車重:1990kg/駆動方式:FR/エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バ
ルブツインターボトランスミッション:7段AT/最高出力:560ps(412kW)/6000rpm/
最大トルク:69.3kgm(690Nm)/1500-5750rpm/タイヤ:(前)265/35ZR20 99Y/
(後)295/30ZR20 101Y(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)/燃費:9.0km/
リッター(JC08モード)/価格:1730万円


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